研究成果

睡眠呼吸障害と交通事故経験との関連について

東温スタディを2009〜12年に受診し、5年後の追跡調査に参加された男女計1047名の方に睡眠呼吸障害検査や日中の眠気に関する調査、交通事故の経験に関する調査を行い、これらの関連について国際学術誌に報告しました。

これまでの報告では、睡眠呼吸障害や日中の過度な眠気と交通事故との関連は示されていますが、睡眠呼吸障害や過度な眠気によって交通事故が発生したかについて、コホート研究によって分析した報告はほとんどありません。

今回の研究の結果、女性における睡眠呼吸障害と交通事故経験との関連は日中の過度な眠気の有無に関わらず認められることがわかりました(国際誌 Scientific Reports 2020年10巻17050)。


「睡眠呼吸障害と交通事故経験との関連は日中の過度な眠気の有無に関わらず認められる」

睡眠呼吸障害はフローセンサ法により測定された呼吸障害指数に基づき、睡眠呼吸障害群と非睡眠呼吸障害群に分類し、交通事故経験、日中の過度な眠気は質問紙にて調査しました。年齢、平均睡眠時間、また糖尿病の影響を統計学的に調整したうえで、睡眠呼吸障害や日中の眠気と交通事故との関連を分析しました。さらにこれらの関連を、日中の過度な眠気の有無によって層別し解析しました。

その結果、日中の眠気と交通事故経験については有意な関連がみられませんでした。睡眠呼吸障害については、女性において睡眠呼吸障害群の方は非睡眠呼吸障害群の方に比べて交通事故のオッズ比が1.66倍と有意に高いことが示されました。さらにこの関連は日中の過度な眠気のない女性ではオッズ比が1.84倍とより顕著に見られました(図)。一方で、男性ではこのような結果は見られませんでした。

今回の研究では、睡眠呼吸障害と交通事故との関連についてのメカニズムまでは示すことができません。今後更なる研究の積み重ねが必要ですが、交通事故を予防するためには、日中の過度な眠気の有無にかかわらず睡眠呼吸障害の検査を行うことを検討すべきであると考えられます。

■ 研究のハイライト

  • 睡眠呼吸障害や日中の過度な眠気が交通事故の危険因子として考えられている。
  • 睡眠呼吸障害と交通事故経験との関連は日中の過度な眠気の有無に関わらず認められた。

*非睡眠呼吸障害群に比べ統計学的に有意に高い

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