東温スタディでは、2014年から受診者の方の出生体重を調査してきました。低出生体重(出生体重2500 g未満)でうまれた人は、将来糖尿病や高血圧、心血管病などの生活習慣病にかかりやすいことが欧米を中心に報告されていますが、日本人での研究はあまり行われていません。
そこで、今回私たちは、2014年から2018年に東温スタディに参加頂いた、中高年の男女計1135名の方々を対象に、出生体重と現在の糖尿病有病との関連について分析しました。その結果、低出生体重で生まれた人は、標準出生体重で生まれた人と比べ糖尿病有病のオッズ比が統計学的に有意に高いことが分かりました。(国際専門誌 Journal of Diabetes Investigation 印刷中)
低出生体重で生まれた人は糖尿病になるリスクが高い
出生体重を低出生体重(2500 g未満)、標準出生体重(2500-3000 g)、高出生体重(4000 g以上)の3群に分類し、ブドウ糖負荷試験で糖尿病の診断を行いました。年齢や性別、肥満指数(Body Mass Index:BMI)、糖尿病家族歴などの要因によって糖尿病のリスクは高まるため、これらの影響を調整したうえで、出生体重と糖尿病の関連を分析しました。その結果、低出生体重の人では、標準出生体重の人と比べ、糖尿病のオッズ比が2.4倍と有意に高いことが示されました。
また、低出生体重で生まれた人で、現在太っている(BMI 25 kg/m2以上)人は、現在太っておらず標準出生体重の人と比べて、糖尿病のオッズ比が7.4倍ととても高いことが分かりました。
今回の研究では、低出生体重が糖尿病の発症に関わっているメカニズムまでは示すことができません。更なる研究の積み重ねが必要ですが、低出生体重で生まれた人では、将来糖尿病になるリスクが高いことに留意し、適切な体重管理や栄養管理を行うことが重要であると考えられます。
■ 研究のハイライト
- 低出生体重で生まれた人は、標準出生体重で生まれた人に比べ、糖尿病のオッズ比が高かった。
- 低出生体重で生まれ、現在太っている人では糖尿病のオッズ比がとても高かった。
- 適切な体重管理や栄養管理が糖尿病の予防にとって重要であると考えられる。