研究成果

ガムそしゃく時の唾液分泌量と肥満との関連について

 東温スタディでは、2011年より、受診者の方に無味無臭のガムを5分間そしゃくしていただき、その間の唾液量(重量g)の測定を行ってきました。
 これまでの報告では、無味無臭のガムを数分以上そしゃくし、その間に分泌される唾液量が多いほど、そしゃく能力が高いことが示されています。よく噛まないといったことが肥満の原因であることも報告されています。
 そこで、今回私たちは、男女計921名を対象に、そのガムそしゃく時の唾液分泌量と肥満との関連を調べることで、そしゃく能力が肥満に影響を及ぼしているかどうかを検討いたしました。その結果、ガムそしゃく時の唾液分泌量が多いほど、肥満者の割合が少ないことわかりました。(国際専門誌 Obesity 2015年23巻1296-1302ページ)。

5分間ガムをそしゃくしている時の唾液量が多いほど肥満者が少ない

 ガムそしゃく時の唾液分泌量によって4つのグループに分け、また肥満の指標である、Body mass index(BMI)、ウエスト周囲径、ウエスト-ヒップ比(ウエスト周囲径/ヒップ周囲径)、皮脂厚の4指標をそれぞれに基づいた肥満を定義いたしました。
 年齢や食行動などの要因によって肥満リスクが高くなることがわかっていますので、あらかじめそれらの影響を除いた上で、ガムそしゃく時の唾液分泌量と肥満との関連を検討しました。その結果、ガムそしゃく時の唾液分泌量の最も少ないグループに比べ、その他のグループではいずれも各肥満者の割合の比であるオッズ比が小さく、最も多いグループは過体重、腹部肥満(ウエスト)、腹部肥満(ウエスト-ヒップ比)、皮脂厚過多のオッズ比がいずれも低く、したがって肥満者の割合が少ないことが分かりました(図1)。
 また、今回の研究では、唾液分泌量の多い、いわゆるそしゃく能が高い人ほど、肥満予防に寄与する食物繊維や野菜の摂取量が多く、また肥満の原因となる炭水化物や穀類の摂取量が少ないこともわかりました(図2)。肥満予防のために、食物繊維の多い固い野菜類などをよく噛んで食べるようにし、そしゃく能を高めていきましょう。

■ 研究のハイライト

  • ガムそしゃく時(5分間)の唾液分泌量の測定を行った。
  • 唾液分泌量が多いほど肥満者が少なかった。また、食物繊維や野菜の摂取量が多く、炭水化物や穀類の摂取量が少ないことが分かった。
  • よく噛んで食べることが唾液の分泌量を増やし、肥満予防につながる可能性が示唆された。

図1 ガムそしゃく時の唾液分泌量と肥満との関連

図1 ガムそしゃく時の唾液分泌量と肥満との関連

図2 ガムそしゃく時の唾液分泌量と穀類・野菜類摂取量との関連

図2 ガムそしゃく時の唾液分泌量と穀類・野菜類摂取量との関連

先頭へ
  • 参加者の皆様へ(情報の取り扱について)
  • 東温スタディ検査内容
  • 東温スタディニュースレター
  • いのち輝き 緑あふれる まち -東温市-
  • 愛媛大学大学院医学系研究科愛媛大学医学部
  • 愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域糖尿病内科学講座
このページのトップへ